ジョグジャカルタの下水処理場へ 訪問レポート Part2
前回の訪問レポート1(概要編)に引き続き、排水処理についての内容をご紹介したいと思います。
はじめに、セウォン排水処理場の大要的な役割を紹介します。
・家庭排水による河川や井戸などの水環境の汚染を防ぐ
・衛生の向上と美化
・排水処理後の汚泥を肥料や灌漑用水などに用いる
許容能力
1) 計画許容能力 15500m3/日、25000戸
2) 使用容量 12250m3/日 (2012年)、現在は14000m3ほどと思われる
3) 接続家屋数 20101戸 (2016年11月)
設計と排水水質
1) 許容流入水 : 15500m3/日 (179L/秒)
2) 平均流入水 (2012年) : 12500m3/日 (128L/秒)
3) 毎時許容水量 : 1282m3/時 (356L/秒)
4) BOD負荷 : 5103kg/日 (46g/人/日)
5) 流入水 月平均BOD値 (2016年10月) : 455.1mg/L
6) 流出水 月平均BOD値 (2016年10月) : 23.4 mg/L
排水処理の流れ
1 汚泥の回収
下水中の固体、汚泥をここで回収します。写真の汚泥回収車は家庭から回収した汚泥をこの場所に捨てているので下水処理場のプロセスとはあまり関係ありません。
2 スクリューポンプ
スクリューを利用して1分に10.7m3の揚水を行います。その前にゴミを取り除く鉄柵があります。3つのうち一つは常に運転されており、一つは予備で止まっています。
スクリューポンプを用いる利点は、後続の排水管にゴミがつまらない、汚染物質を軽減することができる、泡が排水処理槽まで到達しない、という点です。
3 沈砂池
このプロセスでは、排水中の砂、砂利などの粒子を沈殿させてポンプで取り除きます。
砂の排出には水中ポンプが使われており、その次に直接サイクロン分離器に到達します。サイクロン分離器では排水中の固体と液体に分けられます。処理が終わった排水は槽の奥の粗粒フィルターを通って、主な排水浄化池である通性ラグーンに流されます。
4 好気性(曝気)ラグーン
排水処理方法の1つである好気性ラグーン法は、排水を貯めた池の上層で曝気(酸素を供給)して好気性微生物を用いた処理を行い、池の下層では酸素が少ない環境になっているので嫌気性微生物を用いた処理が行われます。このように酸素がある環境、無い環境の2つの状態で処理が行われています。日本だと全体を曝気する活性汚泥法が用いられていますが途上国ではラグーン処理が行なわれている場所も多いようです。
全てで4つのラグーンがあり、ここで5.5日の処理が行われます。
写真正面の池 ラグーン 奥にも同じラグーンが2つで合計4つあります
各ラグーンに1つ置かれている曝気装置 外国製品で高価なので大事に修理しながら使っています。
5 浄化池
ラグーンでの好気性、嫌気性処理が終わった後はこの浄化池にて1.5日ほど置かれます。この槽は曝気プロセスはなく、日光に当てたり微生物が排水を浄化したりして放流されます。
以上の処理過程で、施設全てで一月にRp 50,000,000 (約41万円ほど)かかっているそうです。
おまけ
一年に数回しか行わない余剰汚泥の引き抜きのようすです。
ラボの様子
DO, BOD, COD, pH, 温度, N, P, TSS その他有害物質などを分析します。
一日に一度決まった時間( 07:30〜09:00 )にサンプリングが行われています。一番家庭からの流入の多い、朝にしているようです。
まだまだ細かい項目はありますが長くなってしまうため、割愛させていただきます。(調査レポートの詳細を見たい方は直接ご連絡ください)
最後のパートではまとめを行いたいと思います。