ゼロから始めるインドネシア語 の勉強を終えました
2016年の4月中旬ごろからジョグジャカルタの語学学校に通い、そこから2ヶ月ほど授業を受けてからもう一度本書を使って勉強し直しました。
学校では、インドネシア語8割、英語2割ぐらいの割合の言語を使われてインドネシア語を習っていたので所々、理解が不十分なところがありました。母国語(日本語)でインドネシア語の文法が学べる参考書としては、一番のおすすめです。
ホラス由美子著「ゼロから始めるインドネシア語」
インドネシア語の文法は、言語の中でも相当簡単な方なので、少し時間はかかりますが文法(単語の変化)さえ理解してしまえばすぐに文章を書いたり読んだりすることができます。 ただ、単語がわからないとどうしようもありませんが。
この本は十数時間ほど勉強に使ったと思います。文法のおさらいをするのにもとても便利な教材です!
本書の文法に続き、単語、会話フレーズの勉強に特化した本もありますのでまたの機会にご紹介します。
ジョグジャカルタの下水処理場へ 訪問レポート Part3 まとめ
最後のパートでは見学に行って見えてきた良かった点、問題点についてまとめます。
ご参考までに概要のpart1、処理プロセスのpart2のリンクです。
今回、インドネシアのセウォン下水処理場を訪問してきて、問題点よりも良かった点の方が多いように感じました。以下に2つの面をまとめました。
問題点
・情報共有ができていない
下水処理場の情報を得ようとすると学生の訪問レポートやそれをコピーしたページにしかたどり着かず、公式ホームページがそもそも無いようです。そのため、訪問レポートをもとに情報を拡がっていけば良い、という考えのようでした。
外国からの援助や政府からのお金を使って運営しているということもあり、市民には運転状況や排水の基準達成の可否を、公式ホームページなどで公開してほしいと思います。
・土地の低い家は下水管に接続することができない
これは当下水処理場に限った問題ではなく、重力エネルギーを用いて集水している機構では、土地のレベルが下水処理場より低いと排水を送れません。土地の低い場所では、その住宅街でのコミュニティ排水処理施設をより土地の低い場所に建てて、コミュニティごとでの処理が必要であると考えられます。
・汚泥を乾燥させたのち、行き場がない
乾燥させた汚泥は有機肥料として用いるという方針ですが、そもそも安全性のチェックが終わっていないため、まだ活用には至っていません。まだ、汚泥乾燥場はいっぱいにはなっていないためそこまで急務ではないのかもしれません。
良かった点
・排水処理施設の維持管理がよくできている
下水処理場の各プロセスを見学させていただきましたが、マニュアルに沿った運転ができており、もし修理が必要な場合は排水処理場内で修理ができるように体制が整えられているようです。
「機械は外国製で高価なものばかりだから、自分たちで直して大切に使っていかないといけないんです。」とスタッフの方に話していただきました。
・モニタリングがよくできている・排水基準が遵守されている
1日の中でも家庭排水の流入する量の多い時間帯である朝の7:30〜9:00に施設の分析施設で平日に、水質分析が行われています。流入水の汚濁度は高く、ムラのあるときもありますが流出水は、排水基準であるBOD 50mg/L 以下に落ち着いています。
・積極的に家庭からの汚泥を受け入れている
施設の見学中に汚泥を運び入れて捨てている様子を何度も見かけました。彼らは、個人でバキュームカーを持っており、仕事が入れば家庭に行き汚泥を引き抜いてこちらに廃棄します。
家庭のトイレの汚泥をそのままにしておくと、処理の状態が悪くなったり、満タンになって不法投棄されたりと問題なのですが、彼らの仕事によって幾らかの環境が守られています。
・雇用を生んでいる
施設の事務所、処理施設の運転、汚泥の運搬・処理、水質分析、機械のメンテナンスなど 環境を守る職が沢山あります。
・(直接の)情報公開に積極的で、訪問者に対しての説明や案内がとても丁寧
施設を訪問した際には、丁寧に各処理過程を案内していただきました。ラボ(分析室)も同様に拝見し、過去の水質分析の結果も1年分見せていただきました。
隠すことは何もないよ、といった感じです😁
・計画に沿って家屋接続数が順調に増加している
Part1でも言及しましたが、1年に2000家屋の接続数を増やすという計画のもと順調に接続数が伸びていっています。2012年に14,329戸だった接続数は、2016年11月現在は20,101戸まで伸びています。
終わりに、
今回の下水処理場の訪問では、自分の想像しているよりも運転がしっかりできており、安心が出来ました。今回、記事を作った目的である情報共有という点で、インドネシア、ジョグジャカルタの下水事情をより明らかにできたのではないかと思います。
ジョグジャ 下水処理場 の検索ワードでは、すでにこのブログがトップに出るようになっています。
学術用の出典として用いられたい場合は、孫引きになってしまわないように念のため報告論文原文を翻訳してお使いください。
ジョグジャカルタの下水処理場へ 訪問レポート Part2
前回の訪問レポート1(概要編)に引き続き、排水処理についての内容をご紹介したいと思います。
はじめに、セウォン排水処理場の大要的な役割を紹介します。
・家庭排水による河川や井戸などの水環境の汚染を防ぐ
・衛生の向上と美化
・排水処理後の汚泥を肥料や灌漑用水などに用いる
許容能力
1) 計画許容能力 15500m3/日、25000戸
2) 使用容量 12250m3/日 (2012年)、現在は14000m3ほどと思われる
3) 接続家屋数 20101戸 (2016年11月)
設計と排水水質
1) 許容流入水 : 15500m3/日 (179L/秒)
2) 平均流入水 (2012年) : 12500m3/日 (128L/秒)
3) 毎時許容水量 : 1282m3/時 (356L/秒)
4) BOD負荷 : 5103kg/日 (46g/人/日)
5) 流入水 月平均BOD値 (2016年10月) : 455.1mg/L
6) 流出水 月平均BOD値 (2016年10月) : 23.4 mg/L
排水処理の流れ
1 汚泥の回収
下水中の固体、汚泥をここで回収します。写真の汚泥回収車は家庭から回収した汚泥をこの場所に捨てているので下水処理場のプロセスとはあまり関係ありません。
2 スクリューポンプ
スクリューを利用して1分に10.7m3の揚水を行います。その前にゴミを取り除く鉄柵があります。3つのうち一つは常に運転されており、一つは予備で止まっています。
スクリューポンプを用いる利点は、後続の排水管にゴミがつまらない、汚染物質を軽減することができる、泡が排水処理槽まで到達しない、という点です。
3 沈砂池
このプロセスでは、排水中の砂、砂利などの粒子を沈殿させてポンプで取り除きます。
砂の排出には水中ポンプが使われており、その次に直接サイクロン分離器に到達します。サイクロン分離器では排水中の固体と液体に分けられます。処理が終わった排水は槽の奥の粗粒フィルターを通って、主な排水浄化池である通性ラグーンに流されます。
4 好気性(曝気)ラグーン
排水処理方法の1つである好気性ラグーン法は、排水を貯めた池の上層で曝気(酸素を供給)して好気性微生物を用いた処理を行い、池の下層では酸素が少ない環境になっているので嫌気性微生物を用いた処理が行われます。このように酸素がある環境、無い環境の2つの状態で処理が行われています。日本だと全体を曝気する活性汚泥法が用いられていますが途上国ではラグーン処理が行なわれている場所も多いようです。
全てで4つのラグーンがあり、ここで5.5日の処理が行われます。
写真正面の池 ラグーン 奥にも同じラグーンが2つで合計4つあります
各ラグーンに1つ置かれている曝気装置 外国製品で高価なので大事に修理しながら使っています。
5 浄化池
ラグーンでの好気性、嫌気性処理が終わった後はこの浄化池にて1.5日ほど置かれます。この槽は曝気プロセスはなく、日光に当てたり微生物が排水を浄化したりして放流されます。
以上の処理過程で、施設全てで一月にRp 50,000,000 (約41万円ほど)かかっているそうです。
おまけ
一年に数回しか行わない余剰汚泥の引き抜きのようすです。
ラボの様子
DO, BOD, COD, pH, 温度, N, P, TSS その他有害物質などを分析します。
一日に一度決まった時間( 07:30〜09:00 )にサンプリングが行われています。一番家庭からの流入の多い、朝にしているようです。
まだまだ細かい項目はありますが長くなってしまうため、割愛させていただきます。(調査レポートの詳細を見たい方は直接ご連絡ください)
最後のパートではまとめを行いたいと思います。
ジョグジャカルタの下水処理場へ 訪問レポート Part1
インドネシアの水環境を知る上で、各家庭の下水の行き先、ホテルやレストランの排水事情、下水管ネットワーク、下水処理場の運転状況など、明らかにしなければならない事柄が多くあります。
今回は、以前から計画していたジョグジャカルタ特別州のバントゥール県セウォン郡に位置する、セウォン下水処理場に訪問をしてきました。
郡:Kecematan Sewon, 県:Kabupaten Bantul, 州:Daelah Istimewa Yogyakarta , 下水処理場: Instarasi Pengolahan Air Limbah Sewon 通称: IPAL Sewon
訪問にあたって以下の訪問レポートを参考に準備を行いました。→ Makalah IPAL Sewon, Bantul, Yogyakarta - Documents
今回の訪問レポートはインドネシア語の記事、下水処理場のパンフレット、現地で得た情報をもとにご紹介いたします。
処理池をバックに記念写真
訪問の目的
・ジョグジャカルタ特別州の下水処理状況を知る
・処理方法を知る
・排水網の範囲、貢献度を知る
・現在の制約、問題があるかどうか
日本政府からの貢献
実はこの下水処理場、そしてジョグジャカルタ(以下ジョグジャ)の下水道事情には、日本との強い関係性があります。
ジョグジャでは、1936年から約110kmにわたって排水網が建設されました。しかしながら、排水はまだ直接河川に捨てられているため、問題の解決には至りません。そこで、1994年〜1996年に用地面積6.7Haの排水処理施設が建設されました。その時に、日本政府からJICAを通して30億7800万円の無償援助※を受けて、1996年1月から運転を開始することができました。
処理対象は家庭排水(浴室、洗濯、トイレ、台所排水)でその他の産業施設は、自分たちで排水処理を行い、排水基準であるBOD 50mg/L以下※※にした上で放流する義務があります。
※日本政府の公文書によると、建設費用、機材及び据付け、輸送費や人件費で合計590億インドネシアルピア(H5年〜H7年のレートを見ても金額に整合性が取れます)の寄付が行われました。
※※ BOD (Biochemical Oxygen Demand: 生物化学的酸素要求量) 水の汚れの尺度
排水処理、下水道網の受給範囲
ジョグジャカルタ特別州は5つの県からなります。セウォン下水処理場では、そのうちジョクジャカルタ市、バントゥール県(3郡)、スレマン県(5郡)が運営とサービス受給に関わっています。中心地から離れている土地や、土地が低い場所では排水の運搬が行えないため、ジョグジャカルタ特別州全体を見ると普及率は3.5%ほどにしかなりません。
下水道が通っていない場所は、地域ごとの排水処理施設がある場所もありますが、ほとんどはセプティックタンク(維持管理のできていないものがほとんど)のため、ほぼ未処理のまま、河川に放流されているか地下浸透されているかのどちらかです。
新しい情報としては、2016年11月の時点の接続家屋数は20,101戸になったようです。そのうちの8割ほどはジョグジャカルタ市からの家屋です。下水処理場に許容量はあるものの毎年1,000戸を目標に接続家屋数を増やしているとのことです。
その進捗として、2012年に14,329戸だった接続家屋数が2016年11月には約6000戸も増加しています。
ジョグジャの下水網 緑の太線が下水の主管、緑の点線が家屋に通じやすいように建設された下水管、赤い線は今後の建設予定のパイプ
次回はより詳細な排水処理の部分を見ていきます。
中央ジャワ 排水処理施設メンテナンスへの同行
9月下旬にインターンの内容の一環で出張への同行をさせていただきました。
プカロンガン県 Google マップ
テガール県はジョグジャカルタのPUSTEKLIMのオフィスから250kmほど離れており、プカロンガンはその道のりにあります。かなり遠い出張となりました💦
今回はメンテナンスの様子の一部をお伝えしたいと思います。
1か月電気が止まっていた状態でしたが、
排水処理装置の電気系統は異常なし
一ヶ月ほど運転が行えていなかったため草がチェーンの方まで伸びてきている。経年劣化によってチェーンが伸びてしまっている様子。
盗難防止用の鉄柵を外した後に、据え付けたモーターを一旦外し、チェーンがたるまないように位置の調整を行いました。
この他にも3件のメンテナンスと状況の確認を行いましたが、住民のメンテナンスが不十分であったり、本来ならば連続運転が好ましいのですが節電のため回転円板が4日ほど止められていたりという不備が目立ちました。
メンテナンスののちに、PUSTEKLIMのスタッフが住民へメンテナンスに関する指導を行い、故障が起こる前に定期的にメンテナンスを行い、連続運転を図るようにお願いをしました。
これからも住民たちでの完全な持続運転ができるように、定期的に運転管理のメンテナンス、指導を行っていきます。
インドネシアの10月2日はバティックの日
インドネシアの10月2日はバティックの日!!
2009年10月2日にインドネシアの伝統工芸品として、バティックがユネスコの無形文化遺産に認定されました。それを受けて、インドネシアでは10月2日をバティックの日に制定されました。
バティック(Batik)とは?
東南アジア産の臈纈 (ろうけつ) 染の布。現在日本でバティックという場合には,インドネシア産のものをさし,一般にはジャワ更紗といわれている。現在のインドネシアのバティックには,伝統的なデザインと植物性染料を用いて製作されたもののほか,外国からの影響を受けたデザイン,輸入化学染料を用いた多彩なものもある。
ブリタニカ国際大百科辞典より引用
バティックといえば、中央ジャワのソロやジョグジャカルタがとても有名です。それぞれの地方によって柄が異なるので国内でも旅行先のバティックを探すのも楽しみの一つになるかもしれません。
バティックの作成方法の種類
ろうを使って布を染め分けるという技法が使われています。
バティック トゥリス(Batik tulis)という手書きのバティックが一番本格的で高価なものです。Tulisとはインドネシア語で書くという意味で、時間をかけた丁寧な手書きを意味します。
一方で、お手軽なスタンプ バティックやプリント バティックも作成されていてやすいものでは400円程度から数千円と手に入りやすい値段で売られています。手書きのバティックの場合は数万円から始まるほど高価なものが多いです。
⇧著者のバティックコレクション、インドネシアにおいては仕事や行事などでもフォーマルなものとして着れて便利です。
Happy batik day in all Indonesia! Sampai jumpa! 🙌
イスラム教のお祭り 犠牲祭当日
本日はついに犠牲祭当日です。
行事はジョグジャカルタの一番大きな大学で行われるとのことでしたが、実施日が違うらしく、インドネシア人の友達の家の近くのモスクの行事に参加させてもらうことになりました。犠牲祭は4日間にわたり開催されるとのことです。
朝9時ごろに友人の案内でモスクに行く
すると既に人が大勢集まっていてモスクの裏の広場では、牛や羊、山羊の屠殺(とさつ)が始まっていました。初めに見たのは牛の屠殺で、正直なところかわいそうに思えました。
写真:屠殺の前に牛が暴れないように縛り付けられている様子
大人も子どもも食い入るようにその一部始終を見ていました。
写真:少しわかりにくいですがフェンスの外側の濃い赤色の服を着た男性がマイクを持って、屠殺中にお祈りの言葉を捧げています。
モスクや犠牲祭を案内してもらう
行事を見ていると近所のおじいさんに日本語で話しかけられ、犠牲祭やおじいさんについての話をしていました。彼は1994年ごろ、ちょうど僕が生まれた頃に日本に10ヵ月間来て、工業高校で日本の技術を学んで帰ったのだそうです。インドネシアに帰った後すぐに阪神淡路大震災が起こりショックを受けたと話していました。
今日はそのおじいさんがモスクを案内してくれ、僕たちにおやつを出してくれたり、ご飯に誘ったりしてくれました。
肉を捌いたり、分配をする様子
この場所では、牛や羊、山羊を捌いて分配をします。屠殺の横では内臓をきれいにして食べれる部分とそうでない部分を分け、後ろでは肉をさばいてご飯の準備をしています。見た目はまさに市場のような感じでした。
ご飯に招待していただく
友人の家で休んでいたところ、先ほどのおじいさんにお昼ご飯に誘っていただきました。写真はちょうど、彼が「おかずはこのお皿、ご飯はここから好きなだけ取っていいよ」と言ってくれている場面です。いきなり外から来た人に対しても色々と優しくしてくれる、彼らの寛容さや優しさに触れることになります。
牛、羊、山羊はそれぞれ人間何人分の犠牲になるのか?
彼らに聴いたところムスリムの行事である犠牲祭の中では、牛は7人のため、羊とヤギは一人分と考えられています。
これは各動物一人当たりの人間に必要な動物の犠牲の数です。牛は25000円ぐらい、ヤギも羊も20000円ぐらいなので牛を一頭買う方がコストパフォーマンスが良いわけですね。これは単に牛の体が大きいため、羊や山羊のそれだけの分に相当するという意味だと思われます。
もちろん肉は所有者や参加者で分け合うので、羊1頭を一人で食べてしまうというわけではありません。
今回の行事では、動物の屠殺から解体、食事まで参加させていただき、改めて動物の命の重さを身近に感じることができました。