ジョグジャカルタの下水処理場へ 訪問レポート Part3 まとめ
最後のパートでは見学に行って見えてきた良かった点、問題点についてまとめます。
ご参考までに概要のpart1、処理プロセスのpart2のリンクです。
今回、インドネシアのセウォン下水処理場を訪問してきて、問題点よりも良かった点の方が多いように感じました。以下に2つの面をまとめました。
問題点
・情報共有ができていない
下水処理場の情報を得ようとすると学生の訪問レポートやそれをコピーしたページにしかたどり着かず、公式ホームページがそもそも無いようです。そのため、訪問レポートをもとに情報を拡がっていけば良い、という考えのようでした。
外国からの援助や政府からのお金を使って運営しているということもあり、市民には運転状況や排水の基準達成の可否を、公式ホームページなどで公開してほしいと思います。
・土地の低い家は下水管に接続することができない
これは当下水処理場に限った問題ではなく、重力エネルギーを用いて集水している機構では、土地のレベルが下水処理場より低いと排水を送れません。土地の低い場所では、その住宅街でのコミュニティ排水処理施設をより土地の低い場所に建てて、コミュニティごとでの処理が必要であると考えられます。
・汚泥を乾燥させたのち、行き場がない
乾燥させた汚泥は有機肥料として用いるという方針ですが、そもそも安全性のチェックが終わっていないため、まだ活用には至っていません。まだ、汚泥乾燥場はいっぱいにはなっていないためそこまで急務ではないのかもしれません。
良かった点
・排水処理施設の維持管理がよくできている
下水処理場の各プロセスを見学させていただきましたが、マニュアルに沿った運転ができており、もし修理が必要な場合は排水処理場内で修理ができるように体制が整えられているようです。
「機械は外国製で高価なものばかりだから、自分たちで直して大切に使っていかないといけないんです。」とスタッフの方に話していただきました。
・モニタリングがよくできている・排水基準が遵守されている
1日の中でも家庭排水の流入する量の多い時間帯である朝の7:30〜9:00に施設の分析施設で平日に、水質分析が行われています。流入水の汚濁度は高く、ムラのあるときもありますが流出水は、排水基準であるBOD 50mg/L 以下に落ち着いています。
・積極的に家庭からの汚泥を受け入れている
施設の見学中に汚泥を運び入れて捨てている様子を何度も見かけました。彼らは、個人でバキュームカーを持っており、仕事が入れば家庭に行き汚泥を引き抜いてこちらに廃棄します。
家庭のトイレの汚泥をそのままにしておくと、処理の状態が悪くなったり、満タンになって不法投棄されたりと問題なのですが、彼らの仕事によって幾らかの環境が守られています。
・雇用を生んでいる
施設の事務所、処理施設の運転、汚泥の運搬・処理、水質分析、機械のメンテナンスなど 環境を守る職が沢山あります。
・(直接の)情報公開に積極的で、訪問者に対しての説明や案内がとても丁寧
施設を訪問した際には、丁寧に各処理過程を案内していただきました。ラボ(分析室)も同様に拝見し、過去の水質分析の結果も1年分見せていただきました。
隠すことは何もないよ、といった感じです😁
・計画に沿って家屋接続数が順調に増加している
Part1でも言及しましたが、1年に2000家屋の接続数を増やすという計画のもと順調に接続数が伸びていっています。2012年に14,329戸だった接続数は、2016年11月現在は20,101戸まで伸びています。
終わりに、
今回の下水処理場の訪問では、自分の想像しているよりも運転がしっかりできており、安心が出来ました。今回、記事を作った目的である情報共有という点で、インドネシア、ジョグジャカルタの下水事情をより明らかにできたのではないかと思います。
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学術用の出典として用いられたい場合は、孫引きになってしまわないように念のため報告論文原文を翻訳してお使いください。